近年、一日葬が注目されています。一日葬は、従来の葬儀よりも短い時間で行われるため、参列者や遺族にとって負担が少なく、経済的な面でもメリットがあります。この記事では、一日葬の特徴や費用、流れについて詳しく解説します
この記事を書いた人
立ち華葬祭 COO 高橋 哲彦
葬儀業界歴20年。その中で対応した葬儀の施行件数は3000件以上。
現在は川越市の葬儀社「立ち華葬祭」でCOO(最高執行責任者)として、お客様の理想の葬儀をお手伝いしております。そしてその専門知識や経験をもとに、川越市を中心とした方々に葬儀の役立つ情報をご提供しています。
1.一日葬とは
一日葬とは、名前の通り、葬儀を一日で完結させる形式のことを指します。通常の葬儀は数日にわたり行われることが多いですが、一日葬では告別式と火葬を一日で行い、参列者の時間的な負担を減らします。
一日葬のメリット
時間的な負担が少ない
一日葬では、お通夜を行わないため、家族は故人と最後の夜を静かに過ごすことができます。これにより、翌日の葬儀や火葬前に、故人との時間をゆっくりと持てるのが一日葬の大きなメリットです。また、参列者や遺族の時間的な負担も軽減されます。
費用を抑えられる
一日葬は一般葬に比べて遺族の負担を軽減し、経済的な面でもメリットがあります。通常の葬儀が2日間に渡るのに対し、一日葬は1日で完結するため、遺族の体力的な負担が少なくなります。さらに、遠方からの親族にとっても、宿泊の必要がないため日帰りが可能となり、その分の経費も削減できます。また、お通夜を省略することで会場利用費が不要になり、参列者が少なくなることから食事や返礼品の準備も抑えられます。これらの要因により、一日葬では全体的な費用を一般葬よりも抑えることができるという大きなメリットがあります。
一日葬のデメリット
2日分の費用がかかる可能性がある
一日葬は葬儀を1日で完結させるため、会場費が1日分で済むと思われがちですが、実際には遺体を葬儀前日に会場に安置する必要があるため、2日分の会場費がかかることがあります。したがって、一日葬でも会場費が予想より変わらないことがあるので、葬儀社との打ち合わせで費用の詳細を確認することが重要です。
参列者の都合がつきにくい
一日葬にはお通夜がないため、仕事などの理由で参列できない人がいる可能性があります。このため、後日、参列できなかった方々のために弔問の機会を設けることもありますが、弔問者が多いと遺族が対応に忙しくなることがあるでしょう。
2.一日葬にかかる費用
一日葬の費用は、地域やサービス内容によって異なりますが、一般的な葬儀に比べて低コストで行うことが可能です。具体的な費用は葬儀社によって異なるため、事前に見積もりを取ることが重要です。
1.葬儀費用
一日葬の平均費用は約45万円程です。これには搬送、安置、葬儀場利用料、祭壇・花・棺の一式、葬儀スタッフの人件費などが含まれます。ただし、火葬料金の有無は葬儀社によって異なるため、詳細は打ち合わせで確認が必要です。
2.お布施
一日葬におけるお布施や宗教者手配の平均費用は約22万8千円ですが、支出は30万円未満最も多い層となっており、その中でも10万円以上15万円未満が一番一般的な金額範囲です。お布施は、僧侶への感謝を示し、お寺への寄付として考えられるもので、そのため提供者の心情が最も大切です。特定の金額が決められているわけではないので、金額は親族や関係するお寺の意見を参考にしつつ決めることが推奨されます。
3.返礼品
一日葬での香典返しの標準的な金額は、受け取った香典の半分から3分の1程度が一般的とされています。例えば、1万円の香典をいただいた場合、3,000円から5,000円の範囲で返礼品を選ぶのが一般的です。会葬のお礼には、ハンカチやタオルがよく選ばれますが、お菓子やお茶を選ぶこともあります。
葬儀費用
10万円~50万円
お布施
5万円~29万円
返礼品
2000円~3000円(×人数)
総額15万2000円~79万3000円
4.一日葬の流れ
逝去後はすぐに葬儀社に連絡し、法律上の制約や施設の規則に基づいて遺体の搬送と安置を行います。その他にもお葬式の当日までの準備が様々あります。ここでは皆さんが安心して準備ができるように一日葬の流れを3つのステップで説明していきます。一緒に確認していきましょう!
- 葬儀社に連絡:まずは葬儀社に連絡をし、やるべきことを一緒に整理していきます。ご自宅での安置が難しい場合、葬儀社がお迎えに上がります。
- 書類準備:お医者様から死亡診断書を受け取り、火葬許可書などの申請を行います。
- 葬儀の形態を決める:どのような式にするかを決めます。
- 故人様とお別れする:告別式は、故人様とのお別れをする場なので、これまでの感謝を伝えましょう。
葬儀はお坊さんが中心となりますが、ここでは喪主が中心となる点にご注意ください。
- 火葬の流れ:到着火葬場のスタッフへ火葬許可証を提出し、火葬場では、火葬炉の近くで棺に対面し別れを告げます。※火葬場によっては、別れを告げるための専用の部屋が用意されている場合もあります。
注意点
故人様との最後の時間であり感謝を伝える時間でもある家族葬。トラブルなどで後悔したくないですよね…ここでは家族葬を行うにあたっての注意点をまとめています。参考までにご覧ください。
前日準備が忙しい
一日葬では、全ての儀式を一日で行うため、前日の準備が特に大切です。お通夜が省略される以外、通常の葬儀と大きな違いはなく、精進落としの有無やタイムスケジュールに差が出ることがあります。適切な準備と計画を通じて、故人と遺族にとって理想的な葬儀を実施することが重要です。この記事では、一日葬の主要な流れと事前準備について解説し、最適な葬儀の実現を支援します。
一日葬であることを周りに伝える
一日葬を行う際は、菩提寺にその意向を伝える必要があります。最近は一日葬に対する理解が増えていますが、仏式葬儀では通夜と葬儀・告別式が宗教的に重要な一連の流れとされており、寺院によっては通夜の省略を受け入れていないこともあります。また、その日に行けない方もいる可能性があるので事前に伝えましょう。
5.一日葬を行うにあたっての手続き
一日葬を行う際には、死亡届の提出、火葬許可証の取得など、必要な手続きがあります。また、葬儀社との打ち合わせを通じて、細かい流れや要望を確認しましょう。
死亡届の提出
「死亡届」は、死亡診断書と一体化された用紙で、その左側が死亡届、右側が死亡診断書となっています。病院で死亡診断書を受け取り、死亡が判明してから7日以内に印鑑を押して市区役所に提出します。※海外での死亡の場合は3ヶ月以内です。提出義務者は、故人と同居していた家族や家主などですが、この手続きは葬儀社が代行することも多いです。死亡届は故人の本籍地、死亡地、または届出人の住所地の役所に提出し、届出人の印鑑と身分証明書を持参することが求められます。死亡届が提出・受理されると、戸籍上での故人の記録は削除されます。
火葬許可書の申請
火葬を行う際には、自治体から「火葬許可証」の取得が必要です。この許可証を得るためには、医師が発行する「死亡診断書」か警察が作成する「死体検案書」、そして「死亡届」を市区町村役場に提出する必要があります。死亡診断書は、病気による死亡時に担当医が作成し、事故や自殺の疑いがある場合には警察が検死の結果を基に作成します。
火葬許可書を受け取り
死亡届が受理されると、その後「火葬許可証」が発行されます。この許可証を受け取る際には、記載内容の正確性と市町村の押印があることを確認することが重要です。火葬時にはこの許可証を携帯する必要があり、火葬が完了すると、日時や証印が記入された許可証が返されます。この許可証は、後に埋葬の際にも必要となるため、大切に保管する必要があります。自治体によっては「埋火葬許可証」という名称で呼ばれることもあります。最近では、死亡届の提出から火葬許可証の受取り、さらに火葬場の手配までを葬儀社に依頼することが一般的になっています。
まとめ
本記事では、一日葬と家族葬の相違点、一日葬の進行手順、コスト、利点及び欠点について詳細に説明しました。一日葬はまだ広く知られていない葬儀の形態の一つですが、多くのメリットを提供します。そのため、親族にこの葬儀形式に関する情報を明確に伝え、理解を深めてもらうことが重要です。遺族が納得できる方法で、故人との最後の時間を大切に過ごすことが大切です。この記事を通して、一日葬に関する理解を深め、適切な葬儀形式を選択する助けになれば幸いです。
監修者
株式会社ルピナス 金子雄哉
全国の葬儀社を対象にしたコンサルティング及びマーケティング支援を行う、株式会社ルピナスの金子雄哉です。葬儀業界のデジタル化を推進し、より多くの人々が葬儀サービスを理解し、アクセスしやすくするための戦略を日々研究・提案しています。葬儀社の経営者様だけでなく、ご遺族様にとっても最良の葬儀が行えるよう、マーケティングの観点からサポートしております。