“お墓の引っ越し”が増えている? 早めに終活の準備を始めよう

近年、お墓を引っ越す人が増加傾向にあります。厚生労働省の統計によると、2011年には約7万7000件だったお墓の引っ越しが、2020年には約11万8000件と大きく増加しています。

では、お墓の引越しを考える際、多くの人はどのように進めれば良いのか、何から手をつければ良いのか、不安を感じるかもしれません。この記事では、実際に必要となる、法的な手続き、費用の問題、新しい墓地の選定など、そのプロセスに関する手続きや注意点を、より深く理解しやすいように詳しく解説します。

目次

お墓の引越しを検討する理由

身体的負担の軽減

お墓の引っ越しを検討する人の中には、身体的負担を減らしたいと考える人が多いです。特に、自宅から離れた場所にある実家のお墓への定期的な訪問が、高齢になるにつれて困難になるケースが増えています。また、交通手段の不便さや、長距離の移動が必要な場合も負担となることがあります。これらの理由から、よりアクセスしやすい場所へのお墓の引っ越しを考える方が増えています。

親族に対する維持管理費用負担の懸念

終活という言葉が多く使われるようになる中で、こうした、親族や家族の維持費用を気にする考えも増えてきているようです。お墓の維持には年間の管理費や、時には修繕費も必要となります。これらの費用が将来的に親族や家族にとって負担にならないように、費用の面からもお墓の引っ越しを検討するケースが増えているのです。特に、小さなお墓に移ることで、維持管理費用を減らすことが可能になることも、引っ越しを検討する大きな動機の一つです。

守る人がいない

先祖代々のお墓を守るのが難しくなってきているという例もあります。特に若者が都市部へ移住する傾向が強くなる中で、地方の過疎化が進む地域では無縁墓の問題が顕著になっており、例えば、熊本県人吉市では2013年に市内の全995カ所の墓地を調査したところ、4割以上が無縁になっており、なかには8割以上が無縁墓になっている墓地もあるそうです。

宗教、宗派の変更

個人や家族の宗教観や宗派の変化も、お墓の引っ越しの理由となりえます。時には結婚や生活環境の変化などにより、宗教や宗派を変更することがあり、それに伴い先祖のお墓を現在の信仰に合った場所へ移すケースが見られます。宗教や宗派の変更は、日本の多様化する宗教観の中で、一般的な現象となりつつあり、お墓の移転はそのような個人や家族の信仰の変化に対応する一つの手段として考えられています。

お墓の引越しのプロセス

お墓の引越しプロセスは、多くの手続きと慎重な計画が必要です。

STEP

移転先を決める

まずは遺骨の移転先を決めます。交通手段の便利さなどを考慮して場所を選ぶ必要があります。

STEP

墓地使用許可証を受け取る

新しい墓地が決まり永代使用契約が済んだら管理者より「墓地使用許可証」を受け取ります。

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「受入証明書」を発行してもらう

新しい墓地や納骨堂などの納骨施設の管理者から、「受入証明書」を発行してもらいます。ただし、すべての墓地や施設が「受入証明書」を発行しているわけではない点に注意が必要です。

STEP

「改葬許可申請書」を入手する

今のお墓(移転元)の管理者から「埋葬証明書」を発行してもらい、所在地の役場から「改葬許可申請書」を受け取ります。「改葬許可申請書」には今のお墓の管理者が記入押印する項目があります。

STEP

「改葬許可申請書」への記入

元のお墓の所在する市区町村役場から「改葬許可申請書」を入手し、お骨を移したい人の詳細情報を記入する必要があります。

その内容は、名前や死亡年月日に加えて、

  • 生年月日
  • 本籍地
  • 死亡時の住所
  • 火葬の場所

など、事細かく記載する必要があります。

必要な情報は「戸籍謄本」や「除籍謄本」、「改製原戸籍謄本」などから取得し、それぞれ記入することになります。また、複数のお骨を改葬する場合、それぞれに対して別の改葬許可申請書が必要です。

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「改葬許可申請書」に墓地管理者の証明

「改葬許可申請書」への必要事項の記入を終えたら、既存の墓地管理者から改葬許可申請書に署名捺印をしてもらいます。

この管理者というのは、墓地の形態によって異なります。

  • 公営墓地や民営霊園なら墓地・霊園管理事務所
  • お寺の墓地ならご住職
  • 村墓地や自治会墓地なら墓地管理事務所や自治会
STEP

書類の不備などがなく申請が承諾されると「改葬許可証」が発行されます。

そして、その書類を引っ越し先の新たな墓地や納骨施設に提出すれば、書類上の手続きは終了となります。

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遺骨の引き取り


事前に日時を決め、移転元のお墓に「改葬許可証」を提示して遺骨を引き取ります。また、古いお墓の魂抜き供養が必要な場合は、その手配も行います。

STEP

新しいお墓に納骨

事前に日時を決め、新しいお墓に遺骨を納めます。

費用の概算

お墓の引越しに伴う費用は、多くの要因によって異なりますが、一般的に以下のような項目で構成されます。

現在の墓地の撤去費用

現在の墓地の撤去には、墓石の解体や遺骨の掘り起こしに関連する費用が含まれます。これらの作業は専門の業者に依頼する必要があり、地域や墓石の大きさ、材質によって費用は大きく変動します。そのためにかかる費用は、1平方メートルあたり10~20万円程度が相場となっています。なお、お墓の面積は2平方メートル以下が一般的とされています。

新しい墓地の購入費用

新しい墓地を購入する際の費用は場所やサイズ、墓地の種類(公営、私営、宗教法人管理など)によって大きく異なります。都市部は地価が高く、郊外は相対的に安くなります。購入時には使用権の有効期間や維持管理費も重要です。

お墓情報サイト「いいお墓」の2023年1月の第14回お墓の消費者全国実態調査では、一般墓の平均購入価格は約152万円でした。これには墓石代約108万円、墓地利用料約59万円が含まれています。

遺骨の移動費用

改葬許可証の行政手数料や遺骨運搬の業者費用など、移動に伴う費用の見積もりが必要です。距離や方法により費用は異なるため、複数の業者からの見積もりをもらうようにしましょう。

お布施代

お墓の解体・撤去を行う前にとり行う法要に対するお布施が必要になります。金額は、通常時にとり行う法要のお布施と同程度で構いません。法要の一般的なお布施の金額は3~10万円程度です。

お墓の引越しの注意点

お墓の引越しに際して、以下の点に注意する必要があります。

宗教的、文化的な側面の尊重

日本の場合、仏教や神道など、宗教や地域によって異なる慣習や儀式が存在します。これらを尊重し、適切な手順を踏むことが重要です。

遺族間の意思疎通

お墓の引越しは、家族全員にとって重要な決断です。全員の意見を聞き、合意形成を図ることが不可欠です。

時間的余裕を持つ

手続きや準備には予想以上に時間がかかることがあります。特に、法的な手続きや新しい墓地の選定、墓石の設置などは時間がかかるため、余裕を持って計画しましょう。

費用の見積りを取る

改葬には多額の費用がかかる場合があります。そのため、もし改葬を考えているのであれば、まずは改葬に関する情報を集めた上で費用の見積りをとり、判断をしましょう。

まとめ

改葬を行う理由について詳細にまとめてみました。過疎化が進む地域では無縁墓が大きな問題となっており、故人の遺骨をより管理しやすい、または家族の近くにあるお墓へ移す改葬のニーズは高まっています。

また、終活としての改葬も増えています。自分や家族のために、生前にお墓のことを整理する人が増えており、これには、家族に負担をかけないようにする意向や、自分の希望に沿った方法でお墓を整理するといった考えが含まれているようです。

お墓の引っ越しを考える際には、これらの理由に加え、手順や費用など多くの要素を考慮する必要もありますので、状況に応じて慎重に計画を立て、適切な改葬の実施を目指しましょう。

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