『家族葬』という言葉自体は聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。実際に日本では最も一般的な葬儀形式として定着しています。しかし、他の葬儀形態と何が違うのか・何人まで呼んでいいのかなど分かりづらい点が多くあります。この記事では家族葬にかかる平均的な費用や流れといった基本的な部分から、初めての人でも分かるように解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いた人
立ち華葬祭 COO 高橋 哲彦
葬儀業界歴20年。その中で対応した葬儀の施行件数は3000件以上。
現在は川越市の葬儀社「立ち華葬祭」でCOO(最高執行責任者)として、お客様の理想の葬儀をお手伝いしております。そしてその専門知識や経験をもとに、川越市を中心とした方々に葬儀の役立つ情報をご提供しています。
家族葬とは
家族葬は、親族や近親者を中心とした小規模な葬儀形式です。参列者は通常10~30名程度で、故人と縁のあった友人や知人も招く場合があります。この形式は、故人との別れをゆっくりと共有できるのが特徴です。
家族葬のメリット
費用を抑えることができる
葬儀の規模が小さいほど、特に家族葬のような場合、費用は一般葬よりも少なくなります。ただし、最終的な経済的負担は、受け取った香典の金額にも影響されるため、全体の費用と収入のバランスを考慮する必要があります。
希望に沿った式ができる
家族葬は自由度が高い式なので、ご家族の希望に沿った式になるのが特徴です。故人の思い出の品を展示する式や、音楽葬が増えており、読経の代わりに故人様の思い入れのある曲などを流します。最近では明るく故人をお見送りするお葬式にする家族も少なくないです。
家族葬のデメリット
トラブルに発展する可能性がある
家族葬でどこまでの関係を「親しい」とするかは曖昧で、招待されなかった人とのすれ違いや不満からトラブルが生じることがあります。このような問題を避けるために、葬儀前に故人の知人に対して事情を説明することが重要です。
香典額が減少する
家族や親族のみの式では参列者が少ないため、一般葬に比べて受け取る香典の金額が少なくなる傾向にあります。これにより、1人あたりが負担する葬儀費用が増加することがあります。
家族葬にかかる費用
家族葬の費用は一見高く見えますが、実は大きく分けて3つの費用から構成されています。それぞれでどれくらいの費用が必要か予算を立てることができれば費用を抑えることもできるので一緒に見ていきましょう。
葬儀費用
家族葬の平均費用は約75万円で、約70%の人が100万円未満で葬儀を行っていますが、100万円以上かける人もいます。一般葬より家族葬は小規模でコストが低い傾向にありますが、内容に応じて価格の幅が広がることもあります。例えば、特別な祭壇やプロの生演奏などの高額オプションがこれに該当します。葬儀の計画では、コストだけでなく希望や条件を考慮することが重要です。
飲食費用
家族葬の飲食費用の平均は約11万円で、約78%の参加者が20万円未満で飲食を用意しました。最も一般的な範囲は10万円から15万円です。家族葬の参列者が少ないため、必要な食事の量も少なく、これが20万円未満が多い理由です。家族葬での飲食は通夜後の「通夜振る舞い」と火葬後の「精進落とし」の2回あり、これらは故人を偲び、喪主が参列者や僧侶へ感謝を表す機会です。
お布施
家族葬でのお布施・宗教者手配費用の平均は約22万8千円で、30万円未満の支出が64.1%を占め、10万円以上15万円未満が最も一般的です。お布施は僧侶への感謝の表現であり、お寺への寄付として捉えられるため、提供する側の気持ちが重要です。具体的な金額の指定が少ないため、金額については親族や関係するお寺の意見を参考にして決定することが推奨されます。
葬儀費用
10万円~99万円
飲食費用
3万円~11万円
お布施
5万円~29万円
総額18万円~139万円
家族葬の流れ
実際に家族葬を行うにあたって、何から始めたら良いか分からず不安に感じている方も少なくないでしょう。家族葬は、通夜と告別式を含む流れで行われ、各段階で留意すべきポイントと準備が必要なものがあります。ここでは初めての方にも分かりやすい3つのステップで紹介していきますので一緒に確認しましょう。
- 葬儀社に連絡:まずは葬儀社に電話して現状の整理をしていきましょう。直接お会いしてやるべきことを1つ1つ確認することもできます。お1人で悩まずにいつでも相談してください。
※お電話でもお話しますが、お医者様から死亡診断書を受け取る必要があります。
- 書類の提出:7日以内に死亡届・火葬許可証の提出を役所にて行います※書類が受理され次第、許可書が発行されますので、後日取りに行きます。
- 家族葬の内容を決める:喪主の決定や何人まで呼ぶか、どんな式にするかを葬儀社と決めていきます。
具体的な通夜・告別式のスケジュールもこの時にお話ししていきます。
- 式当日:一般的には通夜と告別式の2日に分けて行います。1日目は親族や弔問に訪れた方に挨拶をし、ご会葬者と一緒に食事をいただきます。
2日目に故人様へ感謝を伝える告別式を行います。告別式の後は火葬場に移動し、故人様が返ってくるのを待ちます。
注意点
故人様との最後の時間であり感謝を伝える時間でもある家族葬。トラブルなどで後悔したくないですよね…ここでは家族葬を行うにあたっての注意点をまとめています。参考までにご覧ください。
参列しない方へは訃報通知を送る
家族葬では、参加者を限定するため、招待する方のみに案内するのが普通です。しかし、故人の訃報を伝える必要がある場合は、家族葬であることを説明し、会葬を辞退してもらう案内を送ります。家族葬が一般的になっているため、このような案内は失礼とは見なされません。招待しなかった人へは、葬儀が近親者だけで行われたことを訃報通知で後日伝えるのが適切です。
呼ぶ人数によって費用が変わる
家族葬では参列者を限定するため、一般葬に比べて香典の総額が少なくなる傾向があります。これは葬儀の全体的な費用負担が家族側に増加する可能性を意味します。さらに、家族葬に招かなかった方から、過去の香典に対するお返しとして香典を受け取ることもあります。このような場合、故人への敬意として香典を受け取り、後日適切な香典返しを行うのが適切な対応です。
家族葬を行うにあたっての手続き
家族葬の際には法律に基づいた手続きが必要で、特に書類の準備が重要です。初めて行う人にとっては複雑に感じるかもしれませんが、以下の要点を押さえることで、安心して準備することができます。
死亡届の提出
「死亡届」は、死亡診断書と一体化した用紙で、左側が死亡届で右側が死亡診断書部分です。病院で死亡診断書を受け取った後、死亡届の部分に必要情報を記入し、押印して役所に提出します。提出期限は死亡を知った日から7日以内、国外での死亡では3か月以内です。提出義務者は故人と同居していた親族や家主などですが、葬儀社が代行することが多いです。提出先は故人の本籍地、死亡地、または届出人の住所地の市区役所で、提出時には届出人の印鑑と身分証明書を持参するのが望ましいです。死亡届が提出され受理されると、故人は戸籍上からなくなります
火葬許可書の申請
火葬または埋葬する際には、自治体からの「火葬許可証」が必要です。これを取得するには、医師による「死亡診断書」もしくは警察による「死体検案書」と「死亡届」を市区町村役場に提出します。死亡診断書は病気で亡くなった場合の臨終医師が作成し、事故や自殺の可能性がある場合は警察が検死して作成します。火葬は死後24時間経過後に行われ、許可証はこれを証明します。死亡診断書は火葬手続きだけでなく、遺体搬送、保険金請求、相続税申告などにも使われるため、複製が必要な場合もあります。その費用の相場は約5000円です。
火葬許可書を受け取り
役所で死亡届と死亡診断書が受理されると「火葬許可証」が発行されます。この許可証を受け取った際は、内容の正確性と市町村の押印の有無を確認することが大切です。火葬を行う際にはこの許可証を必ず持参し、火葬完了後には日時や証印が記載された許可証が返却されます。これは埋葬時にも必要な書類なので、大切に保管してください。自治体によっては「埋火葬許可証」と呼ばれることもあります。最近では死亡届の提出から火葬許可証の受取り、火葬場の手配までを葬儀社に依頼するケースが多くなっています。
まとめ
家族葬は、故人と親しかった参列者のみで行われる葬儀形式で、形式に縛られず、故人と家族の想いを優先して最期のお別れの時間を過ごせます。故人とのより近くでお別れができるため、年々選ぶ家族が増えています。家族葬では、具体的な規則はなく、参列者の人数を家族が決定できます。招待に迷う場合は招待することがオススメです。家族の希望に応じたぴったりな市場を見つけるため、葬儀社選びには慎重に、複数の見積もりを比較することが重要です。
立ち華葬祭では事前相談も受け付けており、皆様が安心して故人様とのお別れができる環境づくりをお手伝いしています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
監修者
株式会社ルピナス 金子雄哉
全国の葬儀社を対象にしたコンサルティング及びマーケティング支援を行う、株式会社ルピナスの金子雄哉です。葬儀業界のデジタル化を推進し、より多くの人々が葬儀サービスを理解し、アクセスしやすくするための戦略を日々研究・提案しています。葬儀社の経営者様だけでなく、ご遺族様にとっても最良の葬儀が行えるよう、マーケティングの観点からサポートしております。